日本プロ経営者協会(JPCA)は、日本に数多くのプロ経営者を輩出するエコシステムを構築し、わが国を牽引するリーダーの輩出と事業承継問題の解決を目指し設立されました。
まだ日本にはプロ経営者が浸透しておらず、プロ経営者の働き方、プロ経営者になるためにどういったステップを進めばよいのか、求職ポジションにどれだけ出会えるのかという具体的な情報提供をしています。
また、具体的なプロ経営者案件として、事業承継の社長から直接オーダーいただいたものやファンドの投資先の社長としてプロ経営者のポジションをご紹介させていただいております。
当イベントでは、複数社の経営を経験したプロ経営者をお招きして講演を行いました。
プロフィール
私から青木様のご紹介をさせていただきます。
青木様は外資系投資銀行を複数勤務の後、会社経営に携わり、その手腕が買われて、2015年に株式会社明光商会代表に就任しました。
経営環境が悪い中、自社生産のシュレッダー販売を強化して、4年後には借金がある状態から収益を二倍に成長させたというご経験をお持ちです。
これから青木様からもお話があると思いますが、これまで2社でプロ経営者としてご活躍されております。
私もいろいろなプロ経営者の方とお会いしますが、意外と1社経験したあと、2社3社と継続されている方は少ない印象です。
複数社経験されているプロ経営者ならではの、より深い話を聞くことができ、皆さんにとって魅力的なお話になるのではないでしょうか。
ではさっそくですが、青木様、よろしくお願いいたします。
青木氏:よろしくお願いいたします。
私なりに過去の経験・実体験をお話しようかなと思っております。
企業経営といっても色々あります。上場企業から中小企業、ベンチャーもありますし、規模も業種業態も様々です。
経営者としても、創業の経営者もいれば、会社からどんどん上に上がっていって社長になる方もいますし、銀行や金融機関の方から派遣される経営者もいらっしゃると思いますが、私の場合はファンドに声をかけていただいて、「雇われて投資した会社に飛び込んだ」ということで、タイトルの落下傘という表現を使っております。
一人で企業に飛び込んで、その企業のバリューを上げていくという仕事を行ってきたわけです。
私の経験は一つ参考にしていただければと思いますが、全てを網羅するわけではありませんし、経営は人によって違うスタイルもあるため、正道・王道はないと思いますので一つの例としてお聞きいただければと思っております。
青木氏:青木って何者なんだということで、まずは簡単に私のプロフィールをお話します。
20代はソロモン・ブラザーズという投資銀行に勤めていました。
30代になって、センチュリー証券という地場証券で、ブルネイ投資庁というブルネイ国の政府機関・投資機関の不動産投資におけるファイナンスアドバイザーみたいな仕事を30代前半でやっております。
30代の後半は5年間ほど、会社創業のウォール・パートナーズというコンサルティング会社に在籍しました。
これはベンチャーの支援会社でして、IPO支援ですとか、いろいろなお手伝いをするという会社です。
40歳になった時に、ファンドからお声がかかりまして、フットワークエクスプレスという会社に入社しました。
最初はCFOといいますか、管理本部長兼経営企画みたいな形でまいりましたが、途中から社長ということになっております。
ここで約10年勤めまして、50歳になってからこの明光商会という会社に5年ほど勤めて、一昨年6月に退任しました。
現在はベンチャー会社の社外取締役、あるいは顧問のようなことをしたり、新規事業に投資をしています。
またチャンスがあればそういった事業に関わりたいな、と思っています。
会社沿革
青木氏:明光商会についてですが、規模からいうと売上が90億円くらい、従業員が大体300名ちょっとという会社です。
事務機器メーカーで、シュレッダーのシェアが約6割から7割程度あって、シュレッダー業界の中ではリーディングカンパニーでしたが、一旦いろいろな変遷を経て、ファンドの手に入りました。
2014年の末にファンドからファンドに移りまして、私が2015年に入社しております。
続いてフットワークなんですけれども、続いてフットワークなんですけれども、フットワークというのは西濃運輸や福山通運のような事業と全く同業でして、BtoB運送の三大運送会社と言われていましたが、事業の悪化・経営悪化によって一度倒産をしまして、そこからファンドの資金が入って再生しました。その新会社に私が入った次第です。
売上高は当初は600億円程、従業員数は5000名程で、途中でM&Aをしたのでピーク時は売上高800億円程度までいきまして、従業員数も7千名ぐらいいましたけれども、現在はまた変遷を経て、規模的には同じくらいに戻ったと聞いております。
二つの会社を並べましたが、明光商会もフットワークも非常に古い会社です。
明光商会は1959年創業です。一度上場していたようですが、非上場になって従業員とファンドとの間でのMBOをしまして、非上場になりました。ファンドはジャフコさんです。
その後、5年間ほどファンドの元にいたのですが、なかなか事業が立ち上がらず、ファンドtoファンドということで、ジャフコさんからJISというファンドに移りました。JISに移った時に私が社長として就任しております。
そして、2019年イグジットを果たし、現在は三井松島ホールディングスという会社の傘下に入っています。
フットワークという会社は1939年創業で、2001年に会社更生法で倒産という形になりましたが、オリックスと外資の合弁会社による受け皿会社ができまして、営業譲渡で事業を引き継ぐ形になっています。
私も2003年に入社して、最初は管理本部長で入りましたけれども、途中社長が退任されるタイミングで引き継ぎまして、2年後イグジットしております。
イグジット先は、トール・ホールディングスという大会社で、このトール・ホールディングス自身が現在の日本郵政に買収されておりますので、トールエクスプレスジャパンというフットワークを受け継いだ会社は、今日本郵便の傘下に入っております。
会社状況
青木氏:両企業の特徴としては、歴史が古い会社ということです。
もともと非常にカリスマのオーナーによりトップダウン経営を推進されていて、私が入ったときに従業員のみんなへ伝えていたのは「お前ら何も考えるな。言うとおりにしてればいいんだ。」という経営を行ってきたようです。
運送も、シュレッダーというビジネスにおいても一本足打法ですので、いろいろな新規事業で転換を図ったようですが、上手くいきませんでした。
失敗をすると叱られてしまいますので、社員は勇気を持ってチャレンジする力がなくて、執着心も欠如していたというふうに見受けられました。
当然ながら業績が低迷して、両社に特徴的なのが、売上至上主義でありました。QCDが不徹底で、社員のやる気も動機付けも非常に弱かったなという気がします。その根っこにあるのが、いわゆるガバナンス、経営管理が脆弱だったなと思います。
こういった状況の中で、私が入っていったということになります。
結果的にどういう成果が上がったかというと、フットワークは当初、新会社まで100億円規模の会社で一旦投資して、ファンドの方で資金が出まして、最終的には5年後にトール・ホールディングスに123億円ぐらいのバリューで売却できております。
青木氏:明光商会の方は、最初はファンドtoファンドで買取額が15億円~16億円くらいでしたが、最終的に三井松島ホールディングスに65億で売却できて、4年で約50億円バリューが上がったということになります。
当初、50億円の融資負債がありましたが、4年で全て回収が終わりまして、自己資本比率も半分程度になり50%ぐらいまで上がったということで、財務状況も非常に改善されました。
この二つを並べたのは、バブルの時の私の経営スタイルは、どちらかというとトップダウン型でした。
状況、環境が違うので色んな理屈や理由付けができますけれども、反省、失敗を繰り返し、勉強をさせてもらった中で、その教訓のもとに明光商会ではボトムアップ型とまでは言いませんが、バランスを取った経営を進めてきました。
規模の違いはありますが、パフォーマンスに違いが出たかなと思っておりますし、2社経験してようやく、なんとなく掴めたかな、という感触を持っております。
ここまで簡単に私のやってきた経歴についてご説明しましたが、次に本題の方に入りたいと思います。
二部に分けておりまして、最初は明光商会という会社を一つの事例として挙げています。
どういうことをしてきたかという事例を簡単にご説明して、二部の方ではその中で日々どういうことを考えて経営してきたか、ということをお話できたらなと思っています。
事例:打ち手(ステージ1)
会計のスピード化
青木氏:まず、一番最初に私が手をつけたのは会計のスピード化です。
これはもう皆さんも当然だと思われると思いますが、会計がしっかり反映されない・見える化できてないと、なかなか経営ができません。スピードメーターなしに運転できないというのと同じで、できるだけリアルタイムに経営状況が分かる、健康診断ができれば手の打ちようがあります。
当時、明光商会に入った時、月次決算は締め後1カ月以上かかっていたというずさんな状況でした。
入ってすぐに「こんなんじゃ経営できないよ」ということで3カ月で10日にしてくれと指示を出しました。
もちろんこれは当然ながら10日でも遅いぐらいで、できれば5日、3日とかに短縮して欲しかったのですが、いきなりそれは難しいので、「短期間でとにかく10日」と締め後10日で数字が出るようにということを指示しました。
これは別の意味がありまして、もちろん見える化という意図もあったんですけれども、私の経験上、会計を短縮するということは、現場に対して非常にストレス、プレッシャーをかけることになります。
ストレスやプレッシャーをかけるとなるとどうなるのか。
現場でのいろいろなローカルルールがあぶり出されて、属人的な処理をしていたり、あるいは個人のExcelで重要な数値を管理入力していたり。
そういったことが見えてくると、問題点がどんどん見えてくるということになるので、意図してプレッシャーを少しかけました。おかげで、まずここで会社の状況がかなり見えてきたかなという感じです。
あとは皆さんご存知の通り、当然、管理会計の方には新たな戦略がありましたので、戦略に基づいて、KPIを設定するなり、パフォーマンスドライバーなどを見ながら、もともとはファンドの方では目標とするコーポレートバリューだとか、EBITDAの目標値がありますけれども、その下の会社運営上の目標値というものをそれぞれに設定できるようにしました。さらに部門別、商品別、個人別、それぞれ採算が見えるようにもしていきました。
キャッシュフロー改善(BS)による現金の確保
青木氏:その後、入社してすぐに分かったことですが、ブランド力もあり、シェアも高いという会社で、ファンドの方から「青木君、いい会社だからすぐに改善できるよ」と言われてそうかなと思って入ったんですけれども、なんと、キャッシュバランスが非常に悪く、会社の預金があまりなかったのです。
こんな状況の中で、どうやって運営するんだ、という状況に置かれました。
「とにかく現金を作らないといけない。」
お金がなければ何もできませんので、キャッシュ作りを始めようと考えました。
そこでまず、BSの方から着手しました。資産部分のところを見ていくと当然ながら、在庫の問題、売掛問題といろいろあったんですけれども、先ほど申し上げたように会計のところでいろんな問題が出てきたので、そこに在庫の管理状況の問題、そもそも在庫の在庫高が高い低いというよりも、在庫自体の管理がどうか、という問題が浮き彫りになってきました。
顧客サイドとの債権債務残高の確認というところにも非常にあやふやな部分がありましたので、この辺に関しても手が出せるんじゃないかな、という感触があり着手しました。
現場に入って在庫に関しては、需要予測の上期はどういうふうに需要予測を取っているのか、安全在庫をどういう形で見て受発注を行っているのか、在庫管理をどうしているか、ということを一つずつ確認していきました。
面白いことには、会議の中で「どうやって発注してるの?リードタイプどうなってんの?」という話になったときに、実は意見がバラバラに出たりするんですね。統一していなかったわけです。
ある人間はこれぐらいですよと言ったと思ったら、別の人間はこうだと言う。
全然理解が違っていたということが多々ありまして、その場その場で発注者あるいはベンダーサイドに対しての確認をとりながら、本当のリードタイムはどうなんだとかいうところも、稚拙ですがそういうところから入り込んでいて確定していくという作業をやっていきました。
受発注システムについて見直すことによって、当時14~15億円ぐらいの平残があったんですけれども、約半分ぐらいまで在庫を減らすことができて、半年で約7億円ぐらいのキャッシュが浮きました。
こういう、ちょっとラッキーな部分もありますが、動ける部分では在庫管理とそれから売掛の見直しをお客様と交渉したり、確認したりすることによって効果が出たということです。
あとは最終的にはノンコアの事業も、私が退任するまでの間にいろいろな不動産がありましたが、すべて売却しキャッシュ化して、現金確保をしてまいりました。
キャッシュフロー改善(PL)による現金の確保
青木氏:続いてPLに入っていこうと思ったんですが、PL改善はなかなか時間がかかる。顧客との、あるいは市場との交渉もあり時間がかかるわけです。
キャッシュ化するというのは早急にはできないため、こちらはBSよりも遅れて着手しましたが、非常に相関関係がありますので、BSを改善することによってPLの方の改善も非常に効果が大きく出たな、というのを実感しております。
債権債務残高、つまり代理店さんとの取引が営業の方であるんですけどもその中でサイトを非常に長くとっていました。
なぜかというと、売上至上主義でたくさん買ってくれる代理店さんに、いろんな条件を甘くしていたわけです。
サイトもそうですし、いろんな手数料を取られる、あるいはインセンティブも多く払っており、販促費用、物流費が膨らんでいたという状況でした。
それが交渉によって、BSでの影響もありますが、このPLの方にもかなり効果が出たかなという感じがあります。
在庫についても同じように、改善管理することによって、PLへの影響もありますが、社員の意識改革をして売上予算から利益予算へ予算編成を変えるということが一番大きなインパクトを得たかなと思います。
売り上げももちろんないと困るんですけれども、売り上げというのはいろんな言い訳ができるもので、お客さんが言うことを聞かないとか、市場がどうかとか、外部環境の関係でなかなか売れませんという言い訳ができるんですね。
けれども、利益予算となると、いろんな選択肢が増えてきますので、いかようにも対応できるということで、言い訳できないように、粗利予算としました。利益体質にするというのももちろんのことですけれども、このように変えていきました。
明光商会は、代理店販売と直販という両輪で走っており、もちろん代理店層に対しても直販でエンドユーザーさんに対しても販売するんですが、最初から値引きをするわけです。八掛けとか、六掛けとか、そういう形で販売しておりました。
なので、私なんかも逆にド素人ですので「なんで最初から定価で売れないんだ」と言うと「いやいや、もうこれが今まで当たり前でした」と、社内からはこういう意見もあって。
「でもエンドユーザーは値段がはっきりよくわからないんだよ」、「白でブルー、黒じゃないんだから正規な値段で売ればいいじゃないか」という話をするわけです。
こういう話をずっと仕掛けて、「定価で売ってみろ」「定価で売ったらインセンティブをあげるから」とお話ししたらなんと、やっぱり定価で売ってくる社員がどんどん増えてきたという結果が出ました。
最初から上から言われてきた、あるいは過去の商習慣から、値引きするのは当たり前という発想があったようですが、これを切り替えることができたのかなと思います。
もちろん赤字は悪ですので、赤字取引は会計のシステムで見えるようにしていきました。赤字取引は即座に中止です。
それから低採算の商品も撤退ということを行っていきます。
この商品は品質の悪い商品でもあったんですが、質も悪いし、採算も悪いということで最初「社長、こんな商品あってどうすんの」というお声もあり、「そうだな。じゃあやめようか」ということになったんですが、やめる間際になったら「ちょっと待ってくれ」という声が出ました。
社長の顔を見て「そうですよ」と言いながら、いざなるとブレーキがかかるというカルチャーがあるようでした。
止めてしまうと代理店が怒る、喧嘩になって取引が中心になってしまうなど、いろんなリスクを考えてきましたが、ここは頭を切り替えてもらいたい、商品のいくつかを終売という形で決めました。
売り上げが下がるかと思ったら、意外と下がらず、採算のいい方の商品が売れるようになって、みんなほっとしていましたが、私はさもありなんという感じで受け止めて進んでいきました。
まあ、逆に高採算、儲かる方の商品へシフトしていって、儲かる方の商売に人を集中させていくと、企業の購買部は東京に集中しておりましたので、東京の方に営業人員を集中させるリソースの集中を行ったり、それに向けてインセンティブを付けたり、あるいは代理店で大きく売り上げを伸ばすよりも、採算の高い方の商品を直販で売るという形で粗利改善という方向の指示を出して戦略を打ち立てました。
この結果として1年半ほどで粗利が約8ポイント跳ね上がることになります。
ですから、売り上げが下振れする時もあったんですけれども、粗利額としては大幅に上昇し、1年目からボトム利益は大幅に上がってきたわけです。
オペレーション見直しによる品質・効率性の追求
青木氏:問題は、いくら採算が上がったとしても、売り上げが上がらないと当然利益が出ないわけです。
売上の源泉というのは、過去のブランドとか値引きではなくて、やはり品質というところで勝負していかなければいけなかった。しかし、実は私が入った頃は出荷すると不良率が10パーセントぐらいあるような商品も沢山出ていました。
とにかくここを急がないといけないわけです。営業マンからは「売れないのは品質が悪いからだ」とこう言い訳も出てきたものですから、早急にこの品質改善にとりかかりました。
品質のベースになるのは、実は作業の安全性です。
これはフットワーク時代で学んだことですが、まず社員の安全、作業の安全をはかって、そういった配慮をもとに、急がず慌てず作業することによって品質を上げていくというプログラムを進めていきました。
もちろん、技術的な部分もありますので外部コンサルを雇い、それから自動車メーカーの生産管理にいらっしゃった年配のリタイヤされた方を顧問に雇ったりして、BPRを実施しました。
これも最初は、顧問の方もコンサルの方も「これはいつになるんだろう」「もしかしたらもう何年もかかるんじゃないか」ということをおっしゃったんですけれども、おかげさまで非常に速いスピードで品質改善が起きました。
私が辞めるころにはppmが0.015%ぐらいで、ほとんど故障がないような製造体制に変わっておりました。
当然ながら営業としては、品質が悪いから売れないんだ、という言い訳がなくなってしまったわけです。
品質に対するクレームは社内でもなくなり、逆に修理売り上げが減ってきてしまってメンテナンス部門の採算が悪くなるという少しマイナスのおまけもつきましたけれども(笑)、そういう状況になってきました。
あとは、オペレーション見直しに関して、品質効率に直接は関わりませんが、今後の営業体制、あるいは組織体制を組み入れる場合に直間比率というものを非常に重視していきました。
間接部門をできるだけ圧縮して直接部門にリソースをシフトしていくということを念頭に置きました。
直というのは、必ずしも原価に入っている製造上の原価のリソースだけではなく、いわゆるお客様との取引の中で「稼ぐ」リソースを直(ちょく)、全く社内的な業務であって「稼ぐ部門でない」部分を間(かん)というふうに私は呼んでいますが、そこは皆さんの認識を合わせていただきたいなと思っています。
生産部門でもそうですが、お客様との取引の中で、儲かるものにシフトしていって、社内業務、社内作業などアウトプットがすべて社内のためにあるものの作業を非付加価値活動と呼びますけれども、それを極力減らす、あるいはシステム化していく、IT化していくという作業を1年目からスタートさせております。
事例:打ち手(ステージ2)
組織改革によるムダ・ムリ・モレ・ダブりの排除
青木氏:以上は最初の1年目に手を出したことですが、2年目以降からは具体的な足場固めと、1年目で大体数字が見えてきたので、2年目からは収益体制への足場固めというステージ2に入っていきます。
ムダ・ムリ・モレ・ダブりの排除ですが、これは何かというと、皆さんご存じのように組織上の部門間の溝を埋めないと、いわゆる組織力が上がらないわけです。
例えば、営業と生産とか、あるいは管理部門、あるいは企画部門、あるいは現場との意識のズレですね。
それによって情報や実際のアウトプット、お金のムダ・ダブりが非常に出てくるものなので、整理をする必要があるということで取り掛かりました。
簡単に言うと、バリューチェーンベースで開発から調達、生産、営業、販売、デリバリーなどのサービス、ベースにあるインフラなど、必ずしも販売には営業部だけではなくて、生産本部や生産部、管理部門の人員を入れたプロジェクトをいくつか散りばめていきました。
当然ながらマトリックス的な形になりますので、
・指示命令系統や報連相等のルールは見直して、できるだけカジュアルに行うこと
・単純な決裁ルールについてはシンプルにすること
・スピードアップすること
・上は下で決められることを早く決めてあげること
などを滞らないように、ということに気を使いながらやっていました。
それから、ステージ1でお話しましたけれども、部門別、あるいは事業別のKPIから個人のKPIまで降りていくことができるようになりましたので、ジョブ・ディスクリプションを社員全員に配布して、社長との間で300人の社員それぞれが一対一でサインするというような行事を経て意識改革を始めました。
また、いろんな現場の不具合で一番のポイントだったのが、属人的機能ですね。
ある人にある仕事が集中してしまうと、彼や彼女が休んだり辞めたらどうするんだ、という状況がリスク管理の問題の観点からもありますが、これを排除してできるだけみんなでカバーするような機能に一つずつフィックスしていきました。
同時並行で、人事制度改革も外部リソースとして大手の有名な人事コンサルを雇って、モデルを今回の戦略に則って作り直しました。
ここでのポイントは、もうお馴染みの「同一労働同一賃金」にして、それをベースに公平性を期した上で評価するということと、それから評価者をどうやって鍛えるかということです。
評価される方については当然ながら評価指標を出せますが、問題はきちんとそれが評価できるかということですね。
もちろん定量的な指標を多く散りばめましたが、定性的な部分に関してもそれなりのルールを設定した上で、公平性を期した評価制度を作っていきました。
それから、ポストベースでお給料が決まるというのをできるだけ排除したいということで、以前は管理職、あるいは課長部長にならないと給料が上がらない、キャップがかかってしまうことで不満があって、なかなかキャリアアッププランが立てられないという状況だったんですね。
そこで、社員全員に管理職という肩書きや等級を出して、管理職、専門職、あるいは一般職関係なく等級制を作りました。ちょうど軍隊でいうと少尉、少佐大佐とかそういう階級がありますよね。
等級制というのは、要は大佐、少佐、というレベル感をつくって、ポストがもし空けば同じレベル感のポストに就いてもらう、ポストがなければ、そのレベル等級の中での専門職としてさらに上を目指してもらうという形で、ヒエラルキーのように三角形の上のポストがないことによる閉塞感をなんとか打破するというようなストラクチャーをこの人事制度で導入しております。
労働環境改善による生産性の向上
青木氏:労働環境に関しては、残業を減らすということですね。
先ほどお話した属人的な作業をする方が非常にボトルネックになっておりまして、この方々が残業を大きくしてしまうこともありましたし、単純に上司が帰らないから部下が帰らないということもありました。
そのため、残業時間をかなり撤廃しまして、最終的には残業時間はほとんどゼロにしました。
残業代は翌年度のボーナス原資につけまして、最終的には残業する者が悪という形のカルチャーに少しずつ変わっております。もちろん直行直帰やフリーアドレスのようなものもやってまいりました。
意識改革による社会性と組織生産性
青木氏:これはもう皆さんおなじみ、いろんな会社でやっていると思いますけども、どこでもやっているようなことを工夫してやっていきました。
私がこの会社に入ってやろうと思ったのは、一対一で社員と面談をやろうということです。毎年一対一で全員の社員面談、派遣の方ともパートの方とも面談をしております。
これはもちろん私が勉強することもありますし、彼女・彼らの意識を変えていくということも目的としております。
事例:打ち手(ステージ3)
続いて、ある程度会社の内部構造が固まったところで、本格的なモデルチェンジをしていこうと始めたのが次のステージ3です。
ビジネスモデル改革による生産性向上
青木氏:改革というのは、物販シュレッダーはもちろん売ってそのまま売りっぱなしという消費商売ですので、非常に変動が高い商売だったんですけれども、これをリカレントあるいは今流行りのサブスクのような形にしていきたいなという思いと、社内生産は固定から変動にしていった方がリスクが少ないということで、これを望みつつ収益性を確保していくということですね。
あるいは、サステイナビリティというか、収益の継続性を維持していきたいなということで、どうしてもソリューションを営業の方に持っていかなきゃいけなかったので、いろんなパッケージ商品をマーケティングしながら進めていきました。
もう一つのポイントは、個人営業、つまりトップセールスマンなどの非常に営業指数が高い方とそうじゃない方の格差をどうやって解消するかというのが、次のステージ3での私の課題でした。
要するに、会社全体の効率性から言うと、格差が広がる、下の方のレベルが下がってしまうと、全体的な平均で下がってしまうので、不振の方々をどうやってレベルアップさせるかというところに取り組んだのがこの1番です。
営業にはいろいろなステージがあると思うんですけれども、最初のアポ取りから最終的なクロージングまでをステージ分けしながら、全部一気通貫で個人にやらせるのではなく、組織対応にしていくわけです。
ヒアリングや提案をしたり、クロージングまではフロントがやるけれどもその周りは全部内部の社内営業マンなどの方々の組織を作って、できるだけ個人的な能力の差、ブレを解消するような組織体制に変えていきました。
今は完全に組織営業になっているようです。もちろん、個人営業の部分のプラスアルファはありますけれども、その影響度は低くなっていると思います。
新規事業開発とM&A
青木氏:次はM&Aと新規事業です。
会社にいる間に何度もM&Aのお話をいただきましたが、結局やめました。
その理由は、M&Aのポイントっていうのは会社にとって不足している部分、弱いところを補完するということで、別のところからその足りない部分を買い取るわけです。
結局どの会社にも弱みや強みがあるんですけれども、買ってしまった後に、買った相手の弱みまでカバーしきれる能力、キャパがあるかというところにも疑問がありましたので、やはり安易なM&Aは避けて、できるだけ事業提携の方からお付き合いできないかという方向に進めていきました。
一方で、主要商品のライフサイクルを懸念して、新たな商品作り、紙のシュレッダーから紙以外のシュレッダー事業への転換も会社の強みを生かして展開するとか、あるいは顧客データベースを生かして事業を展開するとか、そういったことをやっています。
プロジェクトマネジメント
青木氏:4番目は先ほど申し上げた、組織の連携、溝を潰すためのプロジェクトマネジメントについてです。
ここまでやってきたことですが、これも一つずつは目新しいものはなくて、ご存知のこともたくさんあると思うんですが、私が気を使ったことは、どう優先順位をつけるか、バランスを取るということです。アクセルを踏むところとブレーキ踏むところですね。
順番を間違えるとまったくメチャクチャになってしまいますので、順番を間違えないように、踏むときはアクセルを踏み、ブレーキを踏んで、あるところが終わらない限りやらないと。こういうバランスで経営としてやってきました。
もうひとつは必ず結果を出すということです。
おかげさまで、今書いてあるステージ3までは結果を出してきましたので、あきらめないで、これが達成できないと強い会社にならないという信念のもとにやってきました。
経営者の環境
青木氏:続いての話は、いろんな施策をやりながら日々私は何を考えていたか、ということについて少し話していきたいと思います。
会社というのは、真ん中に会社といういわゆる偶像・虚像のようなものがあって、企業というのは周りにいる方も含めて成り立つわけです。
その中に落下傘の私が入り込んでいったというイメージで環境を理解しました。
会社とのかかわり
青木氏:まず会社との関わりです。
フットワークの時も明光の時もそうですが、私が入った時は全く素人なんですね。
こんな素人の社長で何ができるんだ、何もわからんくせにどうなんだ、とかこういう目があちこちであって、会社がこんなに困って大変なときに、こんな素人が来てますますおかしくなるじゃないか、という目で見られたわけですが、私は素人だからこそできることがあると思っています。
結局、どの業界もどの会社も、必ず社内の常識と世間の常識のずれが出ています。
なぜかというと、ある会社に入られてずっと長年勤めていただくとわかりますが、上に行けば行くほど日々会える人の数が少なくなっていく。お客さんにも会わない方もでてきます。
毎日会うのは社内の人間の一部の人間だけになってしまうんですね。
ところが、私のような外から来た人間からすると、ユーザーの気持ちで考えられるし、「俺だったら買わへんよな」とか、「俺がこのベンダーだったらやってられないな」とか、素人だから言える部分があります。
逆に彼らも「素人じゃない、玄人です」と言いながら、非常に狭いあるいはちょっとした成功体験によるこだわりみたいなものが邪魔して、現状維持という意識が高いというところがあったりして、そこに素人の私が落下傘に入るわけです。
しかも権限を持って入ってきますので、みんな最初はびっくりするわけですが、だからこそ化学反応が起きるんじゃないかなと思っています。素人であるからといって決して後ろめたい思いをする必要はないだろうと私は思っていました。
それから入ったら必ず白い目で見られます。
後半になってくると「社長はいつまでいるんだい?」「もうちょっと長くいてほしい」という優しい言葉がいただけるんですけれども、いつか去る人というふうに見られています。
ある業界団体の集まりに行って、社長さんたちと会いますと「ファンドの人間です。この会社はファンドなんです」と言うと、非常に上目遣いで見られちゃいますし、あるオーナー社長さんからは「俺はファンドは嫌いだ。俺はコロコロ体制が変わる会社は困るんだ」ということをおっしゃる方もいました。
私からすると、そのオーナーさんの方がしょっちゅうコロコロ体制が変わるんじゃないかな、そんなファンドだから変わるものではないよ、と思ってはいたんですけれども、要はなじみのないものが入ってくるというのは業界として非常に抵抗があるんだろうな、まだ世の中はそういうものなのか、と認識しました。
この「いつか去る人」というのは逆に言うとメリットもあって、私自身がいつか去る人でいいわけです。
経営者なんて使い捨てでいいんだ、結果が出なきゃ去るのは当たり前だ、という意識を持たなきゃいけないかなという考えでいます。
逆に言うと、その期間は精一杯やる。日々同じようなルーチンをやっている社員に比べれば、いつか去る人です。
この賞味期限の間にいかにパフォーマンスを上げるか、というゴール設定がはっきりするということです。
その意識で臨めばいいんじゃないかなと私は考えておりました。
それからもう一つは、経験則上、いろんな困ったこと、何か疑問に思った事は現場に行けばだいたい教えてくれるんですね。
答えはすべて現場にあるということが実感としてあります。
問題はどうやって現場とうまくコミュニケーションを取れるか、ということですが、ポイントは「リスペクト」です。
現場に行っても、きちんと人間対人間で対応することだと思いますが、一方で、社長という肩書きで現場へ行くため、みんな緊張しますし、話さないこともあります。
「どう?頑張ってる?」と聞いても大体「大丈夫」「問題ありません」って言うんですよね。
「でもこれだけチャレンジしてるのに問題ないってことはないだろう」「問題ないとか何もやってないんじゃないの?」と、冗談を言いながら話しかけたりしました。
逆に「ダメなんですよ」「もう社長聞いてくれ」と言うような話もありますが、大概大変だというのはそんなに大きな話ではなくて、彼らの世界の中で大変なことであって、全体の中からだと大したことはないんですね。
そう慌てる必要はなく、しっかり聞いてあげればいいということです。
顧客とのかかわり
青木氏:お客様との関わりは、ポイントとしては自分がお客さんならどう思うのかということです。
1にも2にもQCDがなければ信頼は得られない。
お客様は飽き性ですし、常に比較考慮して、なかなかファンにはなってくれません。
会社としては常に新しいもの、新鮮なものに取り組む必要があるということを意識しておりました。
一方で、選択と集中です。商品や事業も選択と集中ですが、お客様についてもファン作りという意味においては、選択と集中を意識していました。
ベンダー、得意先との関わりですね。
ギブアンドテイク、必ず約束は守る、きちんと契約は書面で交わす。
逆に言うと、発注先に対する圧力も、決して優劣がないように、何かトラブルがあった時にはそういう姿勢で相手方のトップと話し合い、解消していくという意識付けは経営者として持っておりました。
それから、お互いに下請けはしない、いらないということです。
お互いにパートナーシップという関係性なので、指示待ち関係・依存関係は無いように意識していました。
私のファブレス会社でしたので、自社製品は非常に少なく、取引先企業の担当との間では「新しいチャレンジをどんどんしてください。そういう基準で選んでいきます」という話もして、お互いに牽制をかけていました。
あとは、分散です。
一社依存は危険なので、多くのパートナー関係を広げていくことを頭に入れておりました。
従業員とのかかわり
青木氏:従業員との関わりですが、最初にヘルスです。
「当たり前じゃないか」と思うかもしれませんが、意外とヘルスというのは難しくて、私が一番大事にしたことですが、いつも体も心もすっきりさせて欲しくて、常に社員の顔色態度をチェックするような気持ちで臨んでおりました。
部下の社員の方々にもそれを意識するように言っていました。
自分自身の健康はよくわからないものですが、周りの健康のことや顔色はよくわかるんですよね。
だから、お互いに健康管理をして欲しいということです。
納期が短いからといって「お客様からクレームが入るから早く処理しろ」「働け」とストレスをかけて、病気になったら本末転倒です。そうならないように、属人的にならないチームワークで健康管理できるような仕組みを作ってくれと言っていました。
健康に対して、社員の方に伝えていたのは「ありがとうと言って欲しい」ということです。
それから、間違ったら「ごめんと言って欲しい」。
私もよく「ごめん」って言っていました。
「ありがとう」と「ごめん」という言葉がないことで、本当にいろんなトラブルが発生します。
部長と課長、更にその下の社員の間のトラブルの中に「ありがとう」「ごめん」が出てくれば、何も困らないなと思いながら、私も意識しておりました。
I(アイ)に関しては自立心・個性を出してくれということ、イマジネーションについて口酸っぱく言っておりました。
依存しないで自分で考えて行動することです。
いちいち管理をしていたら、費用対効果が大変なことになりますし、全部本社、社長に決裁を仰ぐのであれば、スピードは全然追いつきません。
逆に、熱いやかんを触ったときに「アチッ」っていう感じで、現場だけで反応できるようなスピードになり、それが右手にも左手にも反応できるような相乗効果を出すために、それぞれ自立して欲しい、全部決済を仰がないで欲しいという形で進めてきました。
イマジネーションというのは、お客の立場に立ったら、相手の立場になったら、と考えるように私も意識していましたし、社員にも伝えていました。
このイマジネーションというのは、リーダーシップに関してもマネジメントに関しても非常に重要なポイントではないかと思います。
心も体も健康で、自立心とイマジネーションを持ったら、すぐに腹を決めて参画意識が出てきますし、参画意識が出てくれば執着心も出て、「絶対にやり遂げるぞ」という方向に来ることは想像に難くないと思います。
株主(ファンド)とのかかわり
青木氏:続いてファンドとの関わり、株主との関わりです。
委任されているわけなので、収益責任を負って当然ですが、見栄を張ってもしょうがないという対応を株主の方とは意識しております。
言い訳はみっともないので、言い訳はしない、しっかり実行ベースで本質を見極めて、株主の方との間では大局的な考え方をしっかり相手に伝えて理解してもらうことを意識していました。
思い返せばファンドとの付き合いの中で、現場に入っているとディティールに入ってしまうケースが多かったのですが、取締役会やファンド、モニタリング会議では、引き戻してもらえるという感覚があり、非常にありがたかったことを覚えています。
ファンドとの付き合い方
青木氏:もう少し深くファンドとの付き合い方について私の意見を言わせていただきたいと思います。
先ほども申し上げたように経営者は使い捨てという発想でいいと思っておりますが、「しっかりこの期間をやらせてくれ」というものは明確にすべきです。
これは仕事人として、プロとして当然のことかと思います。
次にオーナーシップ、報酬について少しお話します。
会社に入ったときに、ファンドと私個人と会社との間の三者間の委任契約を結びます。
委任契約を結んだあとに、株主総会で取締役に選任されて、代表取締役になるわけです。
この三者間というのが微妙で、ファンドからは委任契約ですので収益責任を持つんですが、実際には経営者は報酬等を会社から貰います。
そうすると、時として株主のために働いているのか、会社のために働いているのか、わからなくなってきます。
普段はほとんどありませんが、時としてシビアな局面で起きることがあります。
この微妙なバランスの経験を、特にファンドと組んでいる経営者になった場合には出てくるかもしれませんので、よく考えた上でお付き合いいただいた方が良いかと思います。いろいろな問題が起こった時に私は非常に悩みました。
特に一番にいい例はエグジットするときですね。
エグジットするときに私は会社の代表として売却先に、ここが良いだろうかという相談を受けますが、基本的にどこにいくかということには関与できません。
ところが、私は会社の責任者でもあるわけです。
会社の責任者として次の株主がどうなるかというのはマネジメントで非常に重要ですが、株主の判断次第で、私は全く知らされず、終わった後に知るということになります。
M&Aのところでお話しました通り、会社を継続するということは非常に難しい部分があり、社員に対する説明も非常に難しかったという経験があります。これがオーナーシップの問題とリーダーシップの問題です。
もう1つは、ファンドも当然ながら収益責任をLPに持っており、アカウンタビリティを要請されるということです。
ところがLPの方は現場を知らないし、知る由もない。
しかし、当然ながらアカウンタビリティがありますの、社長としてはファンド側の立場に立って、LPにどう説明できるか、社長から株主への説明が必要だということを意識してやっておりました。
大局的にどういう状況なのか、ファンドがLPさんへ説明しやすいように、こちらも説明するように意識をして臨んでいたということがポイントです。
当然ながら、ファンドは相談相手ではなく、委任関係にあります。
利害が違いますので、相談相手は全く利害関係のない外部のブレーンをできればお持ちになった方が良いと思います。
私は各ところでブレーンを持って、個人的にいろいろ相談することがありました。
ファンドの方とは、悩んだことの相談相手としては適切ではない、立場を理解した方が良いですね。
これを間違えると、非常に変な誤解を受けることも多々あります。
そうすると、会社運営に関して非常に影響が大きくなってしまうわけです。
チームの組成で気をつけたこと
青木氏:それから、チーム組成です。
ファンドからは必ずと言っていいほどチームが派遣されるケースがあります。
社員よりもはるかに優秀な方々が派遣されてくるのですが、私の場合明光商会には最初は5人のチームが来て、会社のマネジメントと同時に、この5人のチームのマネジメントも課題であった大変な時期がありました。
1名、2名だと問題ないと思うのですが、人数が多いと非常に大変です。
注意点としては、社長と株主から派遣された方との優先順位が違う場合に、とんでもないことになるため、よく共有すべきです。
ただし、彼らのボスはファンドの社長であって私がボスではない。
だからそこにお互いの立場の違いを理解した上で、パートナーとしてお付き合いした方が良いのではないかと思います。
ただし、優先順位を決めるのは社長なので、そこは変えてはいけません。
中には、「株主の代表として来たんだから」ということで、私の知らないところで意図せず非常に高飛車な形で知らない指示を出しているというケースもあり、混乱をしたことも一時ありました。そういう場合には追い出しましたが。
もちろん、ファンドから来た方も社長に対する監視役、ガバナンスとしてはありだと思いますが、会社社員に対する監視役としては不適合で、できればチアアップ、あるいはコーチングするぐらいの気持ちで、それも社長との間でリレーションを組んでやった方が良いと思います。
100日プランで気を付けたこと
青木氏:最初にスタートしてから100日の間に事業計画を設定するようにファンドからも言われますし、一般に言われている100日プランに近いことですね。
気を付けたポイントは2つです。
私の実体験上、素人として会社に入ると、3ヶ月は全体を把握をするのが絶対に無理なんですね。6カ月はかかります。
3カ月でやれることは、せいぜいデューデリジェンスの資料を見て、「外部から見たらそうだな」というのを理解できるくらいです。その後、デューデリジェンスにない問題点がどんどん出てきます。
それを現場に入って洗い出していくのに、もう3カ月いるんです。
ところが、3カ月以内に事業計画を作らなきゃいけない、というプレッシャーがあります。
なので、事業計画は仮説設定で途中で更新か改訂しても良いという気軽な気持ちで作らないと、それに縛られて、想定しなかった事由が起きたときに、そのずれの解消に非常に手間取ります。
私も大慌てしたことがありますので、お気をつけくださいというのが一点目です。
もう1つは、100日プランに関してではないんですが、1年目が一番大事だ、ということです。
素人状態の中で、1年目にどう変えられるか、仮説設定で進んではいながらも、成果として1年目でだいたい目途をつけなくてはなりません。3、4年である程度ケリをつけるためには、最初の1年目が大事です。
そのためにどうするかというと、社内のキーマンを見つけるしかないですね。
これぐらいのストレスをかけても、持つのか持たないのか、どういう不満、クレーム、障害が出てくるのかということを見るために、キーマンを各部門に対して1人か2人見つけておく。そういう人間とリレーションを取ってコミュニケーションをとる必要があります。
「この施策どうした?」と聞いたときに、「社長、これはこうなりそうだ」「こういうことが起きると思う」「過去こうだった」という、いろんな情報をいただけるんですね。
私の場合にもこういったコミュニケーションで乗り切ったというケースがありますが、こうして1年の間にある程度の結果を出すということが、最初の1年目のキモではないかと思います。
Exitで感じたこと
青木氏:最後にエグジットで感じたこと、です。
私は2回エグジットを経験しましたが、オーナーが変わるとすべてが変わります。
なぜ変わるかというと、ファンド時代はわりと単体企業でしたが、今度はグループの中に入るため、戦略・戦術を合わせなければいけないということが一つ。
それから、買い手はシナジーを求めて買うわけです。
向こう側としてはシナジーを求めて事業計画を立てていると思いますが、このシナジーというのがトラップでして、シナジーというのは買う側の会社の強みや良いポイントを自分たちでどう補完するかを求めますが、一方でこちらが持っている弱みは無視してしまいます。
ところが、強みと弱みは表裏一体で、弱みをカバーして強みが活きてくるのですが、強みだけを取ろうとして弱みを活かそうとしないために、その処理だけを、私みたいな引き継いだ社長に「なんとか処理して」というような極端な話が出てくることがあります。
しかも、オーナーチェンジするときには、経営者ではなくファンドが株主間だけのやりとりをしますので、ある日突然売られたということが起きてしまったときに、どう切り替えるのかというのは難しいなと思いました。
株式譲渡契約を株主間で行いますが、その中にキーマンクローズで私の名前が入ります。
譲渡担保の条件となりますけども実際、譲渡された後に新しいグループになった後、ファンドのようにその会社と委任契約を結ぶことはほとんどありませんでした。
そういうカルチャーがファンドにありますが、事業会社にはない。
もし引き続き良さを活かしていただくならば、きちんと譲渡先の方も契約されるとモチベーションはキープできるのではないかと思います。
だからいつまで続けようかなということでもありますし、私としてはできるだけやってきたことを残していきたいと思っているので、それを活かすためにサクセッションプランで後継者を育てていこうとしていました。
社長としてのモチベーションについて非常に不安定なところがあるということもここでお話しできたかなと思っております。
以上です。
青木さんどうもありがとうございました。
僕はめちゃくちゃ面白かったですね。
今まで見たことがないような話というよりは、聞いたことはあるけど、これもできていないなとか、いざ実行するとほんとに難しいなっていうことの積み重ねだなと。
非常に現実的に経営者として心にグサグサ刺さりました。
どうもありがとうございました。
Q&A
それでは皆さんからのQ&Aコーナーに入ります。
Q.赤字経営が続いている状況における心の持ち方とは?
赤字経営が続いている状況における心の持ち方、胆力のつけ方について教えて欲しいです。
青木さん、いかがでしょうか。
青木氏:私、肝っ玉がちっちゃいんですよ。
臆病者なので、胆力のつき方っていうのはわかりませんが、戦略、戦術とまた別です。
持ちようについてだけお話すると、明日のこと将来のことは誰もわからないので、とにかく今できることに集中することにしていました。できるだけいろんなことを考えないで。
毎日毎日必ず出来事が発生しています。
もちろんもうトラブルもあるし、いいこともあると思いますが。
それをしっかり冷静に見て、処理してフィックスしていくというようにしていこうかなと思っていたのと、社長は何もできないので、やってもらえるように準備する段取りを常に考えるということでしょうか。
赤字経営というか、低迷して非常に苦しいときほど、社長は暇だと思います。
問題は逆に好調になったとき、次にどうするかとバタバタバタバタ聞きまわって、「うるさいおっさんやな」と思われたと思いますが、割と忙しくしているかもしれません。
ただ、社長は暇な方がいいと思います。
忙しい社長さんというのは、逆に心配になるような気もしますので。
だからゆっくりした気持ちで、あまりバタバタせず、今やることをしっかりやっていくという気持ちを持ち続ければ、そんなにブレないんじゃないかなと思いますし、私はそうしていました。
ありがとうございます。
Q.社員から信頼を得るための工夫は?
引き継いだ会社の落下傘をおりたあとに、社員から信頼を得るために工夫したことを教えてください。
ということですが、どうでしょうか?
青木:一言で言うと、信頼を得るためには信頼しなきゃいけないと思うんです。
だから、信頼することだとは思いますが、信頼したところで信頼してくれるかどうかはわかりません。
そのためにまず、同じ目線でイマジネーションを生かして、話をするときには「確かに俺がこうだったらこうだよな」という話をずっとしていました。まず理解、あるいは受け止めてあげなきゃいけないのかなと思います。
難しいのは、長年付き合っている相手でもなくて、まだ出会ってすぐじゃないですか。
相手からしてみたら社長が来るわけですよ。そうすると構えちゃいますよね。
言いたいことを言えない、というのが非常に彼らとしてもつらいんでしょうし、私としても聞きたいのにという邪魔があります。
その邪魔をどう取り払っていくかが、信頼を得るということだし、一旦信頼を得れば非常に動いてくれるというか、逆にこっちも楽ですよね。信頼できる社員ができたら任せられますので。
工夫といった意味では、人間対人間の対応として信頼してあげるようにすることですし、そのためには彼らの気持ちになって考えてあげることだし、先ほども申し上げたように、ありがとうとか、間違ったらごめんなと言うことですね。
ひとつの例でいうと、私は社員とよく揉んでいくときに「社長だから、全部正しいこと言ってるわけじゃないよ」「8割ぐらいは間違ってるかもしれんからごめんな」「明日になったら話変わるかもしれんから」というような話で、どんどん入り込んでいきました。
そうすると、向こうも間違わないように話そうとするから固くなるので、別に間違ったっていいんだよって言ってあげたら、思いつきでも話してくれて…という形で気づきができるんじゃないでしょうか。
今ふと思いましたが、本当の信頼は苦しいときに生まれますね。
なるほど。
青木氏:同じ体験をしたときに本当にそう思います。そこであきらめずに一緒に食いしばってやる。
ところが私はやらせる方で現場にはいないので、これは演出かもしれませんけど、一生懸命苦しんでいるという演出の中で褒めてあげるというのは工夫という意味では工夫なんじゃないかと思います。
ありがとうございます。
Q.シニア社員の意識改革への工夫は?
モラル、コンプライアンスに課題の見られるシニア社員の意識改革、これに何が働きかけや工夫はされましたか?
アドバイスいただければ幸いです。
青木氏:はい。前回も今回も、コンプライアンス違反はもうしょっちゅうありました。
コンプライアンスに関しては非常に厳しくやっていますが、逆にコンプライアンス違反があったことを悲観せずに、それがかえって次に変えられるいいチャンスだと思うぐらいの方が良かったかなと思いますし、コンプライアンスは大きい違反が起きてからの方が、むしろ会社は非常に良くなったような気もします。
質問に戻って、シニアの方ですね。社員の方の意識の問題でしょうか。
コンプライアンスを守るかどうか、シニアの方ってなかなか頑固なんで変わらないです。
ひがみっぽいし、過去の成功体験とか、非常に大事にしますし、会社をある意味で変に愛してるし、そういう難しさがある中でどうしていいかわからない方が多いんじゃないんでしょうか。
僕は基本的に聞いてあげましたけども、同時にどうしても経営管理上、モラル上難しい場合はそういう方々を外しました。
コンプライアンス違反が起きて処罰を受けた人間も当然外しましたが、私は新規事業開発事業でそういった問題児ばかりを集めて、社長直結の組織を作ったっていうこともしましたね。
それはどういう意図だったんですか?
青木氏:まず、処罰を受けた人間のリベンジを期待するのと、シニアクラスのカチンコチンの人たちには、直結の方がいいかなと。
また、ラインに影響を与えないようにですね。直結であると要は全体が見られるようになるわけです。
営業部とか、なんとか部の視点からではなくて、会社全体を見回せる立場でコミュニケーションを取っているとそういう意識になってくれるので。何人かはこれで結構変わってくれましたね。
変わる時の最大のポイントというか、変わる瞬間って何があったんですか?
青木氏:マナーとか態度とかに出てくるんじゃないでしょうか。
とにかく社員には笑えと言ってあるので。
苦しいときほど笑え、怒るな、怒鳴るな、「それは自分のストレス解消のためにやっているんだから、いい迷惑だからやめてほしい」という話を特にシニアの方に言っておりました。
なかなか笑顔って作れないんですけど、一緒になってそういう組織を作ると、その中では彼らは活きてきますので、変わってきたと思います。
ありがとうございます。
Q.キーマンの巻き込み方とは?
先ほどキーマンの話がありましたが、巻き込み方で気をつけたことを工夫したことがあればお願いします。
青木氏:キーマンの巻き込み方で難しいのは妬みを持たれないようにしてあげないと可哀想なので。
なるほど
青木氏:「彼、しょっちゅう社長と会ってなんかやってるね」というようになるといけないので、極力オープンにしました。
上司ではなく、現場からの推薦も受けました。
現場に立っている人間に「彼はどうだ?」とか聞いて。
現場でずっと触れ合っているとだんだんわかってくるんですけどね。
そうすると、あんまり妬みはないですね。それは気を使ってました。
ありがとうございます。
Q.やりがいは?
青木様の仕事のモチベーション、やりがいは何ですか?
青木:もともと破たんした会社を2社やっておりまして、両方とも最初はいい会社だったんですが、落ちこぼれ根性というか、曲がっちゃった学生みたいになってしまった。
で、それがどんどん変わってくれる。
変わるんですよ、人間って。
下向いて話してた人間が、翌年の面談では前を向いて「社長、これやったから」って言ってくれるんですよね。
「社長、あんたが言ったことを俺がやってやったよ」なんて言う奴もいるわけですよ。
そういう時の輝きを見たときに、「ああ、俺やってよかったな」と思うし。
だから、エリート集団をまとめる組織っていうのもそれはいろんな画期的な革命も起きて楽しいのかもしれませんけども、へこたれ集団ばっかり集まっても、成功とも言うかどうかはわかりませんが、みんな幸せに生きていけるんだなと。
少なくとも朝起きたときに「行きたくねえな」って思わないで来てくれる連中がたくさんいてくれたらいいな、という思いの中でやってきました。
ポイントは人なんですね。
青木氏:やっぱり人だと思います。
私は明光商会に入るときにファンドの社長に「バリューあげて欲しいんだけど、青木、リストラだけはしないでくれ」と言われたんです。
コストカットしてバリューを上げてくれるなと。
それで私はお引き受けしたいっていう気持ちになって、その辺の意見の一致がありました。
やっぱり人ですよね。どう生かすかじゃないでしょうか。
それを一生懸命考えてました。
ありがとうございます。
Q.ファンドからの参謀について教えてください
次は具体的なご質問です。
ファンドからCEOの参謀として4名はスピード遅くて冷めるとのことでしたが、具体的にどのような役割の方だったのでしょうか?
事業サイド、ファンドのファイナンスサイドなど、どういうチーム体制でそれぞれの方がどういう役割だったのかを教えて欲しいです。
青木氏:最初はそれぞれ、会計管理機関にいたり、営業の方にいたり、生産製造のところにいたりと4つ、5つ部門があったので5人散らばって見ていただいてました。
各事業部に1人ずつといった感じで。
青木氏:そうです。
ありがとうございます。
Q.ファンドから派遣されるならどんな人が良い?
ファンドからもし人を派遣するなら、少なくともどのような役割の方が参謀としていてくれた方が青木さんのようなプロ経営者にとっては助かりますか?
青木氏:ファンドから来た方って、やっぱり知的レベルが高い方々ばかりなんですね。
だから本当に欲しいんです。多ければ多いほどいいと思います。
ですが、あんまり賢い方ばかり集まると、これまた逆にマイナスに働くことが実はありまして。
想像されたらわかるかもしれませんけども、ホントいうと、1、2名の方で一緒に全体を見渡すような方で、特命ができる方がいいなと思って。
「あそこの手が回らないから、あの現場どうなってるか見てくれる?」とか、「とにかく状況を把握してくれないか」とか。
フィックスするのは一緒にやりたいんですが、手が回らない時にはしっかり客観的に原因を追及してくれて、これじゃないかということを言ってくれる立場の方をいただけたらすごい速くなりますね。
逆にこんな人が来たら最悪だとか、こういう動き方されたら最悪だというのはどんなものがありますか?
青木氏:さきほども申し上げておりますが、「俺は株主代表で来たんだ」とか。
そういうケースで、高圧的に社員に行かれてしまうと、こっちはできるだけトップダウン形式のカリスマ的なものカルチャーを変えてしまいたいと思っているのに、水の泡になっちゃう。
できるだけ現場と視線を同じにして、メンタルモデルを変えて彼らから本音を引き出そうとしてるのにそれを下げてしまうのは困りますね。
Q.M&Aで大切にしていることは?
違うカルチャーのコミュニケーション融合(M&A)で何を大事にされていますか?
青木氏:余裕をもっていただきたいなと。
そんなに簡単にシナジーってぱっと会った瞬間に恋愛のように盛り上がるケースってあんまりないんですね。
逆に盛り上がってしまった方が怖いぐらいで、違うものをじっくりじっくり時間をかけてやっていただいた方が効果的じゃないでしょうか。
すぐに事業をうまく変えてみたり、連携してみたり、いろんな仕組みシステム変えてしまうと、せっかくの良さも崩れてしまうような気がするので、何年かかけて徐々に馴染ませていくっていうことの方がいいような気がします。
でなければ、最初から買った瞬間に解体した方がいいです。
いいところだけ、資産だけとってバラバラにしてしまった方がかえっていいですね。
中途半端が一番よろしくない。
リスクを減らしたいのであれば、ゆっくりのほうがいいと思います。
ただし、M&Aの難しさというのは、新規事業もそうですが、初期投資が大きいためにそれに縛られちゃうんですよ。
ああ、早く成果を出さないといけない、と。
青木氏:回収を急がなきゃいけないっていうことに戦略が縛られてしまって、流動的な戦略を立てられなくなるんですね。
M&Aして、買ってしまったら失敗したなんて言えないので、何とかしようとするじゃないですか。
そうするとこねくり回して中途半端になる構造があるような気がしますし、私が入った時はそうなっていました。
Q.プロ経営者の1日目は何をする?
プロ経営者として最初の1日目についての質問です。
社長就任初日は、社員側はいろいろな期待や不安を持っていると思います。
その会社での初日や最初、1週間で何をするか、何を話すか、気をつけることがあれば教えてください。
1日目と1週間ということでしたが、どちらでも大丈夫です。
青木氏:1日目は必ずテレビとかビデオで社員全員に対して挨拶と自分の自己紹介をします。
新入社員ですもん、「頑張ります」というので同じ感覚です。
何か語って、何かすごい偉そうなことをする必要はないし、同じ仲間として入れてくださいということで私は入っております。「俺が来たから大丈夫だ」なんて言えないし。
あとは謙虚に話をしたような気がしますね。
私が入ったからといってうまくいくとは限らない。
「社長が変わらなきゃいけないぐらい会社は大変なんだよ」という話はしたような気がします。
その後、1週間はずっと観察をしていました。行動観察ですね。どういう行動を起こすのか。
なにかわかりやすい動きをするわけではなく、社員一人一人を見ていたと。
青木氏:そうですね。
どういう対応するのか、すり寄ってくる者もいれば、斜め上で見てる人間もいるし。
あまり第一印象全部を覚えていませんが、一人一人ではなくて、全体として「ああ、こういう動きなんだ」っていうのはじっくり観察をしてきました。
どちらも挨拶の立派な会社で、礼節に対してはオーナーさんが厳しかったので、カチコチなんですよね、最初入ったときみんな。
みんな白いシャツにダークスーツで。
私が、もうやりきれなくて、こんなところにずっといるのか、みたいな。
その後すぐ、オールシーズンカジュアルにしてくれというようなことを私の要望としてやりました。
それを広めて、リラックスをして、まず自分が働きやすいようにします。
それも踏まえた上で、それが社員にとってもやりやすくいい方向であったらいいなと思っていますが、もしかしたらカチコチにやることの方が好きな、ヒエラルキーの好きな社長さんだったらまた違うかもしれませんけれども。
私はそういうのは得意じゃないので。
あんまり偉そうにすると、失敗してごめんって言えないじゃないですか。
確かにそうですね。
青木氏:ますますトラップにハマるんですよね。
もう素直に「ヘイヘイバカだよ」って言ってる方が「ごめんね」って言っても許してくれるんじゃないですかね。その方が動くと思いますね。
ありがとうございました。
以上で終了です。
青木さん本当にありがとうございます。